写真サービス「Google Photos」レビュー(前編)--「無料」に関する制限やアプリの操作感という記事の、
「Flickrなら1テラバイトを無料で使えるし」
という記述を見て思い至りましたが、みなさん、Flickr (米Yahoo)の方針転換に気づいてない?
実は、Flickr も現在、実質的に容量無制限なのです。
しかも、Flickr なら一眼カメラで撮ったような写真もほぼフルサイズで保存できる。
日本からの利用で弱点はあるものの、今の所 Flickr の優位は揺らがない気がします。
以下、そのあたりの経緯説明。
Flickr は2013年のリニューアルで、年間25ドルはらうと無制限に写真がアップできたプロ・アカウントは廃止された(払い続けると継続できるとアナウンスされたが、継続しなかったので今でも使えるかどうかはわからない)。
その時まで、無料アカウントだと月辺りのアップロード制限はともかく、フォトストリームが200枚でしか見られないということで、限りなくお試しアカウントに過ぎなかったのが、無料で1TBぶん、フルに使えるというかたちになった。
あと、旧プロは写真のアクセス・データを見ることができるが、これも新コースでは廃止されている。
私のようなアマチュアは必要ないが、もしかして本職の写真家で Flickr を使っている人は、これを目当てに旧プロを維持している人もいるかもしれない。
新コースは無料が原則だが、有料オプションとしては広告を消せる ad free (年50ドル)と、さらに1TB保存領域を拡張できる doublr (年500ドル)が提供されるとされた。
ただ、当時から ad free はともかく、もう一個アカウントを使えばどうにでもなる容量拡張に 500 ドルはらうユーザーはいないのではないか、と指摘されていた。
ちなみに、私は2004年から Flickrを使い始めて、今現在44171枚アップロードされていることになっている。
携帯の写真から、RAWで撮影したものを比較的高品質でJPEGにしたものやパノラマなど、容量は様々だが、今の所1TBの19パーセントほどを利用しているだけである。
今後の利用方法次第ではあるが、あと10年は1TBで困らなそうである(RAWの写真をそのままアップできるようにしてくれると嬉しいし、そうなると状況は一変するが…)。
で、"No more Doublr for Flickr" という記事によれば、実はこの Doublr はリニューアルから半年もしないうちに密かに消されていた(「密かに」であって、例えばヘルプには記述が残っていたりする)。
記事は、Yahoo のスポークスパーソンのエレン・コーンは「なぜプランを取り消したのか、何人のユーザーが同プランに申し込み、その人たちが返金を受けたか、についてはコメントを拒否した」と述べている。
しかし、同時に、エレン・コーン氏が、(Doublr が取り消されても)1TBの制限を超えてしまったユーザーに関しても、そのアカウントにより多くのスペースを付与する形で利用できるようにする」と述べたことも伝えている。
ただ、コーン氏の言葉として次のようにも伝えている。
「会社は容量を超過したユーザーに課金する予定はない。しかし、より多くのスペースを利用するためには、ユーザーは “in good standing" でなければならない」
記事は、「コーンは、ユーザーが"good standing" であるとは正確にはどういう意味か、また彼ら自身がどうすると自分たちが "good standing" でない、と知ることができるのか、についての説明は拒んだ」と締めている。
“in good standing"であるとは、通常は人ないし組織が明示的な義務に適合するように自らをきちんと律している状態をしめし、サービス提供会社と消費者の関係性では「会費をきちんと払っている」というような意味合いが普通であると思われるが、ここではおそらく、倫理的でない、あるいは想定されていない使い方をしている、というような意味であるように思われる(ネットで拾ったアダルト写真を大量に確保したり、写真にみせかけた他のデータを保存したり、といった…)。
なので、あまり気にやむ必要はなさそうだが、一応1TBを越えた時点で運営側のチェックが入る、ということは理解しておいたほうがいいのかもしれない。
しかし、いずれにしても、Flickr も現在、無料で、実質的には容量無制限に使える。
また、話題になっていた写真の自動整理機能的なものも、実は実装されている(Google のそれと比べてみたわけではないが )。
(※もちろん、データ化しているということは、Google と一緒で保存した写真をシステムのほうでデータ処理しているということだよね、というツッコミもあるかもしれない)
他にも Camera Roll などがだいぶモダンなインターフェイスになって、機能も充実してきている。
最大の弱点は、Yahoo は日本だけ独立の会社として提供されており、Yahoo Japan は Flikcrを提供していないため、インターフェイスに日本語を選べないということであろう。
より致命的なのは、iPhone 用の Flickr アプリもリニューアルして大変使いやすいものになっているが、日本語の iTunes Store からはダウンロードできず、アメリカ版(や他の国)のアカウントが必要になる、ということだろうか。
ただ、それらを勘案しても、ほぼフルサイズの写真が残せるというメリットは大きく、Google よりもアドバンテージがあるのは明らかだと思う。
(Google photos は依然として Google の他のサービス、例えば Blogger と連動しているので、いずれにしても使うことになるという人は多いと思うし、私もそうなのであるが…)