2015年10月31日土曜日

「財源」論から「優先順位」論へ

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1. 「財源」って何だ?
 軽減税率が話題になっている。10パーセントと8パーセントという違いならあまり意味がないので、そもそも軽減税率をやめたらいいのではないかと思う(やるならば10とゼロにするぐらいでなければ実質的な意味はほぼあるまい)が、それにもまして「新たな財源は子どものいる低所得者世帯への給付を削減することなどでひねり出す案がある」という議論まででてきているのがバカバカしい。
 そもそも、軽減税率は、所得が低い層へのサポートを念頭に置いたものであるはずだが、実際は高額所得者も(当然、生鮮食品を食べる訳で)減税を享受するという「副作用」は回避できない。
 それに対して、「低所得者世帯への給付」は、通常は(所得を誤摩化していないとして)100パーセント低所得層に行く訳で(「給付」であれば中抜きも起こりにくい)、これを軽減税率の財源にするということは、実質的に低所得者世帯への給付切り下げでしかない訳である。
それ以上に、そもそもこの「財源論」というのを考え直す時期に来ているのではないかという気がする。
 最も重要なことは、何れにしても「財源は何か?」と言えば、特別な財源を手当てしない限り(例えば、気候変動対策のために炭素税を設定したり、第三世界の貧困対策のために航空税を設定したり、といったことである)基本的には「財源は一般会計です」ということである。
 これが「財源論」になるのは、各省庁が(あるいはその下部組織が)が既得権益として枠を押さえており、新しいことを始めるのはこの枠の取り合いであると認識されるからである。
 そうではなくて、「財源の優先順位」はなにか、ということを考えれば、こういったおかしな政策は生じる余地がない。