2015年7月2日木曜日

将来、自衛隊が捕虜になると…

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 この辻元議員の質問は大変的確な問題を指摘しているように思う。

時事ドットコム:後方支援時の拘束「捕虜に当たらず」=岸田外相

 岸田文雄外相は1日の衆院平和安全法制特別委員会で、海外で外国軍を後方支援する自衛隊員が拘束されたケースについて、「後方支援は武力行使に当たらない範囲で行われる。自衛隊員は紛争当事国の戦闘員ではないので、ジュネーブ条約上の『捕虜』となることはない」と述べ、抑留国に対し捕虜の人道的待遇を義務付けた同条約は適用されないとの見解を示した。
 拘束された隊員の身柄に関しては「国際人道法の原則と精神に従って取り扱われるべきだ」と語った。辻元清美氏(民主)への答弁。 (2015/07/01-18:27)


 要するに「国際法」とは基本的に(憲法に相当する成文法はないわけで)慣習法の集大成なわけで、過去のいろんな事例から一般法則が積み上がっているわけである。
 そういった中で、一国だけ「自国の法律的な特殊事情」を理由に、違った動きをされても、国際法が想定する状況との齟齬が生じるわけで、他の当事者は(仮に誠実になろうとしても)困惑するしかないわけである。
 例えば、(中東あたりに派兵したみたいな状況を考えると)次のような状況が想定しうる。
 
某国「我が国の国境内で”イッタイカ"した"コーホーシエン"なる活動に従事していると主張している、日本所属の"ジエータイ"と名乗る、正規軍の武装をした一団を捕獲したが、貴国所属の軍隊に間違いはないか?」

日本「それは我が国の自衛隊で後方支援に従事していて、正規軍の武装をしているが、正規軍でもないし、軍事活動にも従事していない」

某「? 正規軍による軍事活動ではないということは、我が国に敵対する諜報活動に従事していたということか?」

日「諜報活動でもないし、貴国に敵対するものでもなく、あくまでアメリカを中心とした多国籍軍への後方支援である」

某「?? コーホーシエンというのは、兵站活動のことか? イッタイカという用語の国際法上の意味はなにか?」

日「兵站活動は軍事行動であるが、我が国の自衛隊が担っているのは、あくまで武力行使と一体化した一体化した後方支援であり、軍事活動ではない」

某「??? 軍事活動ではないなら、我が国に対する多国籍軍の指揮下にはなく、貴国が独立して行動しているということか?」

日「後方支援であるから、あくまで多国籍軍に協力した活動である。彼らは日本の法律に基づいて活動している。」

某「???? 指揮権、つまり彼らを我が国の支配領域に進行させた責任はだれにあるのか? 我が国はこれらの捕虜の処遇等について、どの国と交渉すべきであるか?」

日「我が国は自衛隊が軍事活動に従事していたのではないと考えているため、彼らはジュネーヴ条約における戦時捕虜ではないと考えている。ただし、我が国としては彼らが"国際人道法の原則と精神に従って取り扱われる"ことを期待する」

某「????? 重ねて聞くが、捕虜交換等の交渉は貴国と行うべきか?」

日「彼らは捕虜ではなく、また我が国は貴国と戦闘状態にある紛争当事国ではなく、貴国の兵士を捕虜に取ることもあり得ない」

某「?????? では、我が国は彼らをスパイとして我が国の国内法で裁判にかけ、場合によっては死刑に処することもありうるが、それでよいか?」

日「我が国は我が国の自衛隊が、"国際人道法の原則と精神に従って取り扱われる"ことを希望する」

某「???????????????????????」


 …アッラーもお困りだわ。

 …もちろん、これはシロウトの妄想なので、どうやったらこの状況で敵国に捕虜じゃない捕虜が"国際人道法の原則と精神に従って取り扱われる"ようにできるか、防衛省にきっちりシミュレーションしていただだきたいものである。
 いずれにしても、今、国会で行われているようなコンニャク問答が、紛争状況で敵国とも可能だとおもう発想こそが「平和ボケ」と言われてしかるべきなのではないか、と思わざるをえない。