2017年11月4日土曜日

We-Fiファンド(イヴァンカ基金)への日本政府の出資は是か非か!?

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1.
 イヴァンカ・トランプ米大統領補佐官の来日に伴って世界銀行の「女性起業家支援イニシアティヴ」(通称 We-Fiファンド)に対して、日本が5千万ドル(約57億円)の支出を表明したことが議論を呼んでいる。
 例えば共同通信は以下のようなニュースを配信している
あいさつでは、トランプ米大統領の長女イバンカ大統領補佐官が設立に関わった、女性起業家を支援する基金への5千万ドル(約57億円)拠出を表明した。

こういった報道の仕方が、あたかもイヴァンカ・トランプが私的に設立したファンドに日本の公的資金を入れる、というふうに取られたからである。
 実際は、このファンドは先に述べた We-Fiファンドのことであり、もちろん運営は世銀が(その環境や倫理基準に従って)行い、イヴァンカが自由にできる資金というわけではない。


とはいえ、一方でこの資金には設立の段階から様々な問題点が指摘されており、海外の報道では議論になっていた。
 こういったことが問題として認識されず、騒ぎになって初めてその存在が認識される、というのも問題である。
 わたしが子どもの頃は「海外のニュースの報道がない」といえばアメリカ合衆国のことであったと思うが、情勢はすっかり逆転している印象がある。

2017年9月14日木曜日

科研費特設審査領域「高度科学技術社会の新局面」

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今年度の科研費の公募を見ると、特設審査領域として「高度科学技術社会の新局面」という枠組みが提示されている。


 説明によれば以下のようなことらしい。

2017年6月27日火曜日

「左翼によるグローバリゼーション批判は消え去ってはいない」(ATTAC フランスのドミニク・プリオンへのインタビュー)

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 「その反緊縮とあの反緊縮は一緒ですか!?」という記事に多少関連して、1990年代後半から盛り上がった左派の反グローバリーゼション、反ネオリベラリズム運動について、それが右派に簒奪されたように見えている現状について、ATTAC フランスで長らく活動を続けている経済学者のドミニク・プリオンへのインタビューを訳出してみた。
 原文は”»Left-wing critiques of globalization have not disappeared« An interview with Dominique Plihon (Attac France) | The Great Regression”。

2017年6月22日木曜日

その反緊縮とあの反緊縮は一緒ですか!?

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 最近「日本の左派は反緊縮を唱えないからダメだ」という議論をよく聞く(例えば「なぜ日本の左派で反緊縮が主流になっていないのか? - Togetterまとめ」)。曰く、「欧米では反緊縮は左派の政策」であるらしい。これは果たして事実であろうか?
 率直にいうと、わが国で「反緊縮」を唱える人々のいう「反緊縮」(以下、反緊縮(日)とでも呼称しよう)と、「欧米では」と言われる時の欧米左派のいう「反緊縮」(同様に反緊縮(欧)と呼称しよう)は、もちろんかぶる部分はあるが、本質的には別物である。

2017年6月2日金曜日

「トランプ政権下アメリカの科学・技術と科学者: 全米科学振興協会(AAAS)年次総会での議論を中心に」『科学』2017年5月号掲載

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 ドナルド・トランプ大統領がアメリカのパリ協定離脱を表明しました。
 それに合わせて、というわけでもないのですが、ちょうど掲載誌発売からひと月経ちましたので、岩波『科学』2017年5月号に掲載されました「トランプ政権下アメリカの科学・技術と科学者: 全米科学振興協会(AAAS)年次総会での議論を中心に(PDF)」を公開します(岩波書店より頒布許諾済み)。
 (※他にも政治と科学に関する重要な論文が掲載されておりましたので、もし興味を持っていただいた方は、雑誌の方もご購入いただければ幸いです)


2017年5月29日月曜日

国連事務総長と安倍首相の会談に関する「誤報」について

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 産経新聞が、イタリアにおけるG7サミットに関して"国連事務総長が慰安婦の日韓合意に「賛意」「歓迎」 テロ等準備罪法案批判「国連の総意ではない」”という記事を配信している。
 要するに、韓国との「慰安婦問題」合意や共謀罪に対して国連において人権上の懸念が議論されていることに対して、それらの疑念を呈している機関が例外的な対応をしているだけだと主張したいらしい。


 それに対して、国連事務総長のサイトに「記者へのノート: 事務総長と日本の安部首相とのミーティングに関する質問への応答として」という記事が上がっている。
 この日本での報道が事務総長の意図を(読解力不足ゆえか、意図的かはともかく)捻じ曲げているということに懸念を表明しているものと言える。
 たいして長くもないので、以下に全文を翻訳しておく(国際政治上の定訳とかに詳しいわけではないので、間違いがあればご指摘いただきたい)。

記者へのノート: 事務総長と日本の安倍首相とのミーティングに関する質問への応答として

事務総長と日本の安倍首相とのミーティングに関する質問への応答として、報道官は以下のように述べた。


 シチリアでの会見において、事務総長と安部首相は所謂「慰安婦」の問題について議論した。事務総長はこの問題が日本と大韓民国の間の協定(an agreement)で解決される問題であるということに合意した。事務総長はいかなる特定の協定の内容についても彼自身の判断を下したものではなく、問題の本質と解決の内容を決定するのは二国間に任されているという原則を述べたものである。


 特別調査者に関して事務総長は首相に、特別調査者は独立した専門家であり、人権理事会に直接報告する、と述べた。


  こんなニュースは海外のメディアは追わないだろうし、産経新聞としては言ったもん勝ちだと判断したのかもしれない。
 典型的な「ポスト真実」手法というべきであろう。
 もちろん、こう言った形で日本のメディアしか見ていない人々をグローバルな文脈から切り離し、「わが国が正しい」という情報だけを与えるというのは、いかなる意味でも好ましくない。

2017年4月26日水曜日

辺野古の新基地は普天間基地の代替ではない

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(注: 公開後、タイトルを変更しました)

 ついに辺野古の米軍基地予定地の埋め立てが始まったと報道されているが、四月上旬、辺野古の海を見に行って、テント村の人や地元の市議さんに色々説明していただいた。
 短時間なのできちんと聞けたかどうかは分からないが、いくつか備忘録的にメモ。


1)
 テント村で説明してくれた人の「辺野古は普天間の代替案ではない」という表現が印象的だった。
 もともと、辺野古のキャンプ・シュワブはヴェトナム戦争中に機能強化が計画されており、これはヴェトナム戦争の泥沼化による戦費の拡大により断念された、という経緯がある。


 新辺野古基地は普天間に比べて滑走路が短く、今普天間が果たしている全ての機能を代替することはできない。
 一方で、現在、新辺野古基地はヘリ用の設備のほか、強襲揚陸艦が接岸できる270メートルの岸壁が計画されている。
 これはヴェトナム戦争時に計画され、米国の予算上の問題から放棄された基地計画の復活である。
 これを「普天間を使えなくする代わりに」日本政府が全て経費を負担して建設するということになるので、アメリカ合衆国にとっては非常に美味しい話、ということになる。


 また、普天間基地は「その機能が戦略上必須だから、辺野古に移転する」という話は成立しない。
 なぜなら両者に期待されている機能は根本的に異なるものだからである。
 滑走路自体は普天間のそれよりもだいぶ短いことから、現在空路で入れていた物資を海路に振り返るため岸壁を長くしたい、と米軍は説明している。
 しかし、輸送船だけであれば270メートルの岸壁は必要ではなく、強襲揚陸艦のためありきの設計である。
 また、キャンプ・シュワブには大規模な弾薬庫があるが、港も空港もない現在はここに置かれる弾薬は別の場所から沖縄に運び込まれ、陸路を輸送されている。
 港を新辺野古基地に建設することは、ここに本国からの物資を直に運び込むことができるようになる、ということであり、例えば現在は困難であると考えられている核配備を、再び米軍が行うのではないか、と社会運動側は懸念している。


 こう考えれば、新辺野古基地は、場合によっては核の配備まで含めた総合的な拠点になるはずで、普天間が使えなくなることにより必要になる代替設備という以上のものなのであり、これを日本政府の予算で建設することは「焼け太り」以外の何物でもないのではないか、ということである。
 また、こうした機能を持った基地がアジア・中東地域での戦争遂行に使われるであろうことを考えるのであれば、地元の環境・生業への影響だけでなく、日本政府による「アメリカの戦争」への加担を許すのか、という倫理的な問題でもある、ということになる。


 ちなみにテント村は「海上ヘリ基地建設反対・平和と名護市政民主化を求める協議会」(略称『ヘリ基地反対協議会』)が主体となっているが、この名称も当初「ヘリ基地が辺野古に来る」という前提から始まっているが、オスプレイ配備、港湾の設置やそれによる弾薬庫機能の拡充、強襲揚陸艦基地としての機能強化と続き、すでに適切な名称ではない(つまり、過小評価した名称になってしまっている)という点が悩まれるところだという。


2)
 また、キャンプ・シュワブは「ジュゴンのエサ場」としてもアピールされる通り、自然豊かな大浦湾の南端にある。
 北端部分には、沖縄を代表するリゾート施設である「カヌチャ・リゾート」がある。
 しかし、実は(地元の市議さんから聞いた話だと)カヌチャのビーチは毎年砂を入れているという。
 大浦湾の北側は南風の影響で、砂を入れてもすぐに流れてしまうのだという。

 一方、キャンプ・シュワブのある南側は天然のビーチに恵まれている。
 「一番いい土地は米軍が持って行ってしまう」と地元の人が嘆くわけである。


 今回、沖縄滞在中に多くの外国人をみた。多くは台湾や東南アジアからの観光客と思われるが、例えばロシア語も聞かれた。
 極東ロシアからであれば、沖縄は距離的にも近く、有力なリゾート地となりうるのかもしれない。
 もちろん、リゾート開発の環境負荷などの面も配慮されなければいけないが、軍事施設よりリゾートの方が環境負荷が高い、というものでもあるまい。
 沖縄には別の選択肢が示されるべきだろうし、それは全く荒唐無稽な話ではない。