2016年4月25日月曜日

G7科学技術大臣会合で語られること、語られるべきこと

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G7茨城・つくばサミットを問う会 第四回講演会で「G7科学技術大臣会合で語られること、語られるべきこと」お話をさせていただきました。



 一時間、好き勝手しゃべらせていただきましたが、ざっくりというと、
1) G7会合の正統性は低い。ここで議論されていることは、もっとオープンな場で様々に話し合うべき。
2) G7での議論の要点は「研究開発の制度的問題」(特に研究開発がグローバル化していること、また極めて経済負担の大きなものになっていること)と、「科学技術が解決に寄与すると期待されている問題」の二つに分かれる。
3) 後者の代表例としては、昨年のノーベル賞でも話題になった「忘れられた熱帯病」があり、これらの問題は国連の持続的開発目標(SDGs)としてリスト化されており、世界各国の科学者も科学アカデミーなどを通じてコミットメントを表明しているが、日本学術会議など日本の科学者団体の動きは鈍い。もっと積極的な関与があるべき。
4) また、SDGsそのものは、目標としては重要であるが、市民社会組織的な観点から見て許容できないものもある。特に、SDGsが巨額の資金を必要とすると予想される一方で、各国がODAなどを出し渋っているため、国連が資金をPPP(官民パートナーシップ)の形で調達しようとしていることや、低開発貧困国の輸出強化によって生活を向上させようという姿勢が強化されたことは問題である。
5) 先進国企業の第三世界進出に関しては、例えば米ユニオン・カーバイド社(当時)がインドのボパール市で起こした悲劇的な化学プラント事故や、シェル石油がニジェールデルタで起こしている事故(および付随する政治問題)といった問題が、さらに拡大するのではないかとか、水の民営化によってボリビアなどで起こった公共サービス価格の高騰などが増大するのではないか、ということが危惧される。
6) この「研究価格の高騰と、民間資金の大学への流入」および「貧困・環境問題解決のための第三世界への民間資金導入」は適切に管理されなければ、公共性に対する深刻な脅威になるが、当然ながらG7での議論ではこうした面への配慮はない。
7) これらへの対応として、多くの市民社会組織は、タックスヘヴン問題にOECD枠組み(BEPS)を使うのではなく、徴税権限を持った新しい国連機関を設置し、租税協調や国際課税を進めるべきであると訴えている。こういった方式はもっと積極的に検討されるべきである。
というようなことをお話した…つもりです。