2016年7月5日火曜日

2016参院選 民進党と共産党は大阪と兵庫で投票スワップを

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今週末に迫った参議院選挙で、メディアなどの報道から判断される範囲では、大阪(4人区)は自民、おおさか維新、公明が優勢で、残りの1議席をおおさか維新の二人目、共産、民進で争っている。大阪の最後の議席は、まったく読めない状態だが、民進(現職)と共産(新人)を比較すると、若干共産が先行しているのではないか、という印象を受ける。一方、兵庫選挙区(3人区)では、自民とおおさか維新が優勢で、残りの1議席を公明と民進が争う構図のようで、共産はまったく可能性がないわけではないにせよ、当選範囲から脱落気味、の模様である。そこで今やるべきこととして、大阪の民進党が支持者に共産候補への投票を呼びかける代わりに、兵庫の共産党が支持者に民進への投票を呼びかける、ということがある。

 この投票スワップ(Vote Swap)は、近年、一般的になりつつある。例えば2000年のアメリカ大統領選挙で、民主党(アル・ゴア)が確実に取れると考えられているカリフォルニアなどの民主党支持者が、自分たちが緑の党(ラルフ・ネーダー)に投票する代わりに、ミシガンなど激戦州(スウィング・ステートの緑の党支持者に対して民主党に投票するように呼びかけた、というような例がある。
 もちろん、いつでも有効な作戦ではなく、アメリカの場合は(1)緑の党候補が大統領に当選する可能性は皆無であるが、彼らは二大政党に対する批判票としての実績がほしい(また、5%の票を取ると次の大統領選で連邦の助成を受ける権利が生じる)。(2)大統領選の本選は州ごとに票が集計され、人口比で配分された「選挙人」を勝者が総取りするので、過半数が取れることが確実であれば、それ以上票を上積みする理由はない。という特殊事情が重なった結果である。
 また、これはインターネットで個人が票を取引するというやり方で行われていた。これは、当時一般にも普及し始めていたネットの可能性を感じさせると同時に、若干「投票の秘密」といった面からは問題がなくもない(ただし、アメリカのほうが「投票の秘密」がさほど厳格に要求されないという面はある)。日本でやるのであれば、党が主導して支持者に呼びかける、というほうがいいであろう。
 また、先のイギリスやカナダの総選挙でも、労働党と緑の党、自由党と緑の党の支持者の間でスワップが行われていた。

今回の場合、
1)兵庫は共産党が議席を確保する可能性は高くなく、民進に票を譲ることで共産が失うものはほぼない。
2)これに比べると、民進にとっては(大阪で一議席とれる可能性が皆無でない以上)大阪で譲ることはやや冒険だが、それでも兵庫と大阪の二議席を失う可能性を回避できるのであればメリットはある。
3)両党にとって、与党と対決していくという強い意志を示せることはメリットであろう。

また、国会は「地域の代表」を選ぶものではないとはいえ、地元に議員がいたほうがなにかと意見を言いやすいということはあるが、大阪と兵庫は地理的にも近く、どちらかに自党の議員が一人いる、という状況を確保できることは悪い取引ではないであろう。

ということで、野党共闘を積極的に推進するという意志を有権者にアピールするためにも、民進党と共産党が大阪と神戸での投票スワップを実現するために話し合うことを望んでいる。