2020年5月27日水曜日

種子はコモンであるべきである: 種苗法改定反対運動を支持する

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 現在、種苗法が議論になっているが、問題の本質は、その背景にあるUPOVと呼ばれる国際条約である。UPOV、正式には「植物の新品種の保護に関する国際条約」は1961年に締結され、たびたび改定されてきた国際条約である。目的は、種子の「育成者権」を知的所有権の一つとして認めることである。しかし、このことには国際的には長い長い議論がある。


 そのためには、まずコモン(ないし複数形でコモンズ)と言う概念を考える必要がある。コモンは、例えば「共有地の悲劇」などの語彙で有名だが、必ずしも「土地」と言うわけではないので、ここではカタカナで「コモン」としておく。元来、人類は生業に必須だが、一人ひとりで独占したり、管理したりすることが適当ではないものを「コモン」としてきた。例えば日本のような農耕文化では、水源や山林は入会地などと呼ばれ「コモン」として管理されてきた。放牧文化では、家畜を放すための土地もコモンであることも多い。また、ヨーロッパ人に土地を売ってくれと言われた先住民たちが、「土地を売る」と言う意味が理解できなかったと言う逸話が世界のあちこちで語られることがあるが、特に狩猟採集を生業の基盤とする文化では、「所有」と言う概念の方が特殊で、むしろ自然のほぼ全てが「コモン」であった。