AAASボストン年会初日である。
まず、会場について登録を済ませる。
登録は、事前にメールできていたバーコードを読み込むだけで、ネームカードが印刷されるので、カードフォルダーを受け取っておしまい。
あと、大会プログラムの入ったバッグを各自で勝手にとるだけ。
会場では Wifi が使える(特にパスワードは必要がないようなので、参加者以外でも使えてしまう感じ)。
これと、モバイルアプリ(プログラムなどが読める)はEUの提供のようである。
毎年EUはAAASの大会に資金を使って、いろいろなことをしている。
研究者への宣伝ということなのだろう。
そのまま、”
How to Connect Science with Policy across the Globe: Landscape Analysis” というセミナーへ。
椅子の数が足らないというところもあるのだが、ほぼ満席である。
こちらでは、各国の科学者による政策提言を促進する仕組みなどが紹介された。
事前のプログラムでは詳細はわからなかったのだが、日本からは政策研究大学院大学の角南篤教授が登壇している。
さて、昨日述べた通り、前回は2007年に参加している。
その後、当時榎木英介氏らとやっていたンポNPO法人でイベントなどを行い、AAASについて色々紹介したつもりであるが、その中の一つにフェローシップ・プログラムがある。
これは、博士号を取得した若手の研究者を、AAASが資金を提供して政策機関(政府機関、各党議員の事務所、シンクタンクなど)に派遣し、科学技術に絡む問題に関する政策立案の訓練を積んでもらう、というプログラムである。
参加したフェローはその後、研究に戻ることもあるし、民間に行くこともあり、またもちろん政治の世界にとどまることもある。
何れにしても、産政学あるいは産官学の橋渡し役となるわけである。
一時期、日本でもこうしたプログラムを実施しようという動きはないわけではなかったが、角南氏がプレゼンの中で述べたように日本の政治風土の問題があり(フェローが結局はコピー要員としてしか扱われず、キャリアに繋がらないと言ったことがあり)、今ひとつうまく行っているとは言い難い。
しかし、今回知ったことだが、日本以外の各国では同様のプログラムが実装されるようになっており、AAASが主導して世界的なネットワークが構築されつつある、ということである。
なぜ日本ではこうした改革が行われにくいのか、考えてみる必要があるだろう。
午後はまず "
Engaging Scientists and Engineers in Policy (ESEP) Discussion" へ。
形式としては、講演者は10人弱ぐらいで、科学技術コミュニケーションやアドボカシーの実践者。
若手が多いが、シニアもいる。
男女比は半々ぐらいで、エスニック・マイノリティに属する若者もいる。
これらの人々が、簡単に自己紹介をした後はすぐに会場からの質問を受け付けるという、ライヴ感溢れる進行になった。
質問する側も、ジェンダーや年齢のバランスが取れているという印象を受け、多文化主義的な空間が構築されている。
ここだけを見れば「トランプのアメリカ」はどこに行ったのだろう、ということになるが、逆に言えば「ここではない半分」はここからは見えない、ということでもあるだろう。
その後、引き続き同じ会場で "
The Online Scientist: Social Media and Public Engagement" という文化会が行われた。
ここでは科学者がSNSなどを通じてプレゼンをすることの意義、問題、ノウハウなどについて議論された。
ノウハウとしては、例えば Facebook だと閲覧数はすごいがビデオなどは最後まで見てくれないが、動画配信サイトであれば科学ニュースに関心のある層は最後まで見てくれる可能性が高いので、Facebookで広報して、Youtube や vimeo でコミュニティをつくっていく努力をするのがいい、といった話などが紹介された。
また、この日は "
Lab Girl"という自伝的小説を書いた Hope Jahren 氏のサイン会も行われていた。