2015年11月10日火曜日

カナダ、トルドー新首相、科学に二つの大臣ポストを

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 カナダが先の総選挙の結果、政権交代し、カナダ自由党のジャスティン・トルドーが首相の座についた。すでに、組閣から新風を吹かせており、首相を除く30人の閣僚には男女が同数、任命された。また、法務大臣には先住民系のジョディ・ウィルソン・レイブルド、また「民主的機構大臣」にはアフガニスタンからの移民だった(ヘラートで生まれ、11歳のときにカナダに移住した)30歳のマリアム・モンセフが就任した。多様性を担保した理由について問われたトルドー首相が「もう2015年だから」と短く答えた映像は、世界中の話題となった。

さらに、国際的な科学雑誌であるNature誌は”Canada creates science-minister post”という記事で、科学大臣ポストが二つ(!)新設されたことに注目している。1995年以降、カナダでは科学の担当は産業省の副大臣の管轄とされて来た。これが今回、独立の科学大臣として復活したわけである。初代の科学大臣(Minister of Science)に任命されたのは、医療地理学者で、トロント市内の小選挙区から当選したクリスティー・ダンカンである。エジンバラ大学の地理学博士号を持つダンカンは、1918年のスペイン風邪に関する研究などで知られ、早くから気候変動が世界の病気の分布に与える影響について着目して来た。
 Nature誌では、オタワ大科学、社会と政策研究センターの前所長であるマーク・サーナー氏の「本当の科学大臣が、博士号をもった人に!」という驚きの(笑)コメントが紹介されている。
 また、「ハーパー前首相は科学の範疇を産業の範疇に突き崩してしまったのであり、その結果、カナダの純粋科学や公的利益のための科学は劇的に衰退した。」というヴァンクーヴァーの非営利環境団体デスモッグのキャロル・リニットのコメントが紹介されている。近年、科学の理論が産業の理論に置き換わりがちであるため、基礎科学や公的な利益のための科学の担当者を独立させた、ということになる。先のサーナーは、「イメージという観点からは、これはすばらしいことだ。しかし、これが実践面で機能するかはわからない」と期待を含ませつつも懐疑的なコメントをしている。

 また、これまでの産業大臣も、産業、科学と経済発展大臣(Minister of Industry, Science and Economic Development)に改称されている。これに任命されたのは、インド系カナダ人で、シク教徒でもあるナヴディープ・バインズである。バインズは経営学修(MBA)を持つ会計士でもあり、ナイキやフォードで働いていた経歴もある。

 日本でもそうだが、各国、
礎科学や人文社会科学の軽視が深刻化していると多くの研究者が感じているところだが、これらはエートスの違うものとして、基礎科学とイノベーションの担当者をきっぱり分けてしまう、というのは今後のトレンドになっていくのかも知れない。

 最後に、Nature 誌は環境大臣が、環境と気候変動大臣に改称されたことにも着目している。このポストに任命されたのは、弁護士であり、東ティモールの平和維持活動などにも係って来たキャサリン・マッケナである。
 多様性を維持しつつ、適材適所で若い人材を配置しており、どうみても内閣に多様性も若さも適材適所も欠如している日本からみるとうらやましい限りである(たまには我々も「文部大臣に、博士号保持者が!」と驚いてみたいものである)。

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