九州大学の中山敬一教授がネットに公開している女性研究者のキャリアに関する文章が議論を呼んでいる。(リンク先に飛んで「女性研究者の有利と不利」をクリックしていただきたい)
ここで、同氏の文章について、問題を整理しておく。
先に結論を述べておくと、この文章はセクハラとパワハラの双方の成分を含んでいる。
こういった文章が大学のウェブサイトに公然と載っていること自体が問題であり、またこの態度で研究室運営を行っているとすれば、実際の被害者も多くいると思われる。
ただ、一方で(少なからぬ擁護者もいるように)ここで表明されているような感覚はいまだに日本の大学の少なからぬ研究室を支配しており、ここまで公然とは言われないにせよ、同様な感覚を抱いている教員は多いかに思われる。
その意味でも、ここで問題を総括しておくことは重要であろう。
まず、「今は女性研究者にとって有利な時代」だろうか?
確かに、「国の施策として、女性教員を増やすように強いプレッシャーがかかっている」のは事実ですが、それだけを持って「女性に有利」と判断するのは早計だろう。
2012年の文科省の科学技術政策研究所のレポートによれば、2005年の博士課程修了者に占める女性比率は26.7パーセントなのに対して、大学に新卒で本務教員として採用される人に占める女性割合は31.9パーセントである(ii)。