火事場泥棒とでもいうべきか、新型コロナウィルスによるパンデミックへの対応で、市民の社会・経済活動を抑制する、より強い強制力を発揮するために憲法改正が「極めて重要な課題」であるという発言が、安倍首相自身の口からなされた。報道によれば、日本維新の会の遠藤敬国対委員長に対する回答の中でのものである。
Huffington Post が以下のように報じている。
遠藤議員の「緊急事態に陥った際、国が国民の生活を規制するに当たって、ある程度の強制力を持つことを担保するにも、憲法改正による緊急事態条項の創設が不可欠だとも考えている」という発言に対し、安倍首相は「憲法改正の具体的な内容等について、私が総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えたい」とした上で、こう続けた。
「あえて申し上げれば、自民党が示した改憲4項目の中にも緊急事態対応が含まれており、大地震等の緊急時において国民の安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えて行くべきか、そのことを憲法にどのように位置付けるかについては、極めて重く大切な課題であると認識をしております」
また、パンデミックへの不安の中で、有権者一般や著名人の中からもそう言った発言が出てきてもいるようである。
これは、日本のパンデミック対応の基本法である「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が、欧米の類似の対策と違い、市民に対する直接の影響力を持たず、要請に止まると言ったところによるものがある。例えば、欧米では外出禁止令が実効的な刑罰を伴った措置として施行されており、これを破れば警官に逮捕されるし、罰金や懲役などが貸されることもある。一方、日本でこう言った強制力のない法律での対応を余儀なくされる。