核の傘、あるいは「核抑止」(Nuclear Deterrence)という概念は、フォン・ノイマンらが提唱したゲーム理論に基づいてる。
あるいは、少なくとも当初は基づいていた。
フォン・ノイマンの議論は、多くの物理学者(しばしば、ナチスの迫害を逃れて新大陸に渡った人々であった)が、自分たちが恐ろしい破壊兵器の開発に携わる動機になった(か、少なくともそれを正当化したり、納得させたりする材料にはなった)。
囚人のジレンマとは簡単に説明すれば次のようなものである。
ケチな泥棒で捕まった二人組の犯罪者がいる。彼らにはその窃盗で2年の刑が言い渡されており、これから刑務所に入るところである。
ところが、警察は彼らがより重大な強盗殺人事件の犯人ではないかと疑っており、司法取引を持ちかけた。
強盗殺人について、二人組のもう一方が主犯であると自白すれば情状酌量の余地があるとして、仮放免を与えよう、というのである。
しかし、その場合は相棒が8年の刑を受けてしまう。
また、双方が相手の果たした役割について同時に自白してしまえば、仮放免はなくなり、双方に責任ありとして5年程度の実刑が見込まれる。