厚労省の「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」で、進展するゲノム関連の医療技術に関する「規制」が議論されているが、ここではゲノム情報を「個人情報」として、個人情報保護法の範疇で議論することを求めるとされたようである。これに冠しては例えば「難病治療研究の妨げにも」という報道もあるが、逆に「個人情報として扱うだけでは、規制として不十分なのではないか」という議論もしておく必要がある。何方かと言えば、個人情報保護法とは別の枠組みで、ゲノム情報の取得と管理に関するルールが定められるべきであろう。というのも、ゲノム情報は、個人の情報というだけではなく、その親族の情報を部分的にせよ含んでいる。たとえばAさんがポリシーとしてゲノム情報を秘匿しておきたいと考えたとしても、家族数人のゲノム情報がとれれば、Aさんのゲノム情報はかなりの程度推察できる、という問題がある。もちろん、ゲノム情報が医療などでの有用性を持つことを考えれば、「Aさんの親族全員の同意をとるまでAさんの遺伝子検査をしてはならない」などということは非現実的である。一方で、なんらかの落としどころとして、Aさんの親族関係情報と、ゲノム情報が結合して処理されないようなストッパーは必要であろう。この点は、現在の個人情報保護法で十分とは言いがたいであろう。
また、「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」が、差別、排除の問題しか検討していないように見えることも懸念される。これは、例えば「遺伝子解析を「差別」につなげない仕組みづくりとは」という、遺伝子診断を実際におこなっているジーンクエスト社の高橋祥子社長へのインタビュー記事でも同様である。